単発プロジェクト
医療靴専門家と匠工芸デザインのコラボ
靴専門家と作った世界に一つだけのブーツ
CENTRAL FOOTWEAR SERVICE
整形靴製作技術者 吉田昇平様×匠工芸デザイン
セントラルフットサービス
CENTRAL FOOTWEAR SERVICEは兵庫県多可町にある靴屋さんです。一人ひとりの足に合わせた靴を製作しており、質の高いオーダーメイドの靴や医療用靴の製作を得意とされています。
TAKUMIARMORY初のオリジナルブーツ誕生
病院で働いていた大きくて優しいクマさん。そんな印象の靴職人吉田さんと、TAKUMIARMORY初となるオリジナルデザインのブーツを作りました。
☑コラボの経緯
すごいかっこええのできるんちゃう?
セントラルフットサービスの吉田さんとの出会いは、2018年の北播磨ビジネスマッチングという企業の出展イベントでした。お世話になっている小野商工会議所の草柳さんが、「別注ですごい靴を作る人がいる。コラボしたらめっちゃかっこいい靴ができるんじゃないか」そう言って引き合わせてくださいました。
北播磨ビジネスマッチングとは、北はりま地域の企業が一堂に会し、自ら製造・開発した新製品、サービス、技術等を情報発信することにより、販路開拓、業務提携といった企業間の取引を実現するビジネスマッチングや、事業のコラボレーションに繋がる企業相互の交流・情報交換を促進することを目的として開催しているイベントです。
新しい感性が生まれる
匠工芸では、ファンタジー武器や衣装制作などデザインから製作までオリジナルで手がけていますが靴は立ち入ることのない領域でした。
方や吉田さんは、主に足をトラブルを抱えた方用の医療用オーダー靴を製作。生活や治療を手助けする「歩きやすい靴」を長年追求しておられます。
全く接点のない業種ですが、共に別注を得意とする会社。意気投合し「ファンタジーの靴を作るのもおもしろそう!」と、握手で成立。出会った当日にプロジェクトが始動しました。
当社桃井考案の無駄しかない靴デザイン
今まで自作の服と武器を手に様々な場所へいってきましたが、靴だけはどうにもいかず、市販の靴に手を加えるのが精いっぱいでした。それが、一から考えられるって夢のような話です。と、桃井は自分の全てを注ぎデザインを起こしました。
☑商品開発
「あちゃ~全力でくるやん!」
折井と桃井はデザインを持って第1回目の打ち合わせをするべく兵庫県多可町にある吉田さんの工房を訪ねました。
デザイン画を見た吉田さんは、優しさゼロ、配慮ゼロのデザインに「あちゃ~全力でくるやん!」と一言。無駄に高いヒール、無駄に多い色数、無駄に付いているビス。これまで、歩きやすさと無駄のないデザインでお客様に喜ばれてきた、その根底を覆す靴だったんだと思います。
それでも「靴屋として歩きやすくないとあかん!考えます!」そう頼もしい一言を残し、打ち合わせが終了しました。
桃井の脚からとった靴の木型
どうしようからワクワクへ
その後も「もっとこーしたらいいんちゃうん?」と、打ち合わせと改良を重ねブーツの実現を目指しました。
構造などを全く無視したデッサンを具現化するには、大変な労力がかかったと思います。実際に心地よく履ける仕様にするため、靴のパーツ数は膨大な数になりました。
・革のパーツは表面と靴中あわせて22枚
・インソールや底材、ヒールの真鍮や爪先や踵の芯の材料等約15
・カシメ(金属の板と板を繋ぎわせるビスのようなもの)は、60~80
・その他、真鍮バックル8個、真鍮ループ6個、靴紐、飾り紐などなど
上記は片足の数なので、両足なのでその倍になります!
靴本体のパーツは片方だけで22枚
出来ないことを補い合い、感性が広がるような時間でした。違う分野の職人さんと話していると、まだまだ匠工芸は進化できると思わされるヒントをたくさんいただけます。
こうして18か月の時間をかけ、出来上がった世界に一つだけのスチームパンクオリジナルブーツ。こんなにゴツくてイカつくて重そうなのに1日中履いていても疲れません。さすがは吉田さんです。
☑オリジナルブーツのポイント
・提案されたイメージやデザイン画に出来るだけ忠実に再現した
・足を採寸、採型してデザインだけでなくフィッティングや履き心地も良いものに
・靴を履く人の世界観(服装だけでなく、空間全て)をより意識して製作
☑世界観を意識して製作
通常の靴作りとは違った工程も多く、戸惑うこともありましたが、一つ一つ楽しみながら製作しました。特に、靴を履く人の世界観(服装だけでなく、空間全て)をより意識しました。日常とは違う世界を想像しながら心踊る時間でした。
CENTRAL FOOTWEAR SERVICE 吉田さん
今回、できないことを補い合いうことで、今までダメだと諦めていたことが実現できました。いや、諦めるも何も考えたことすらなかったのかもしれません。
新しい考えが入り、人が加わることで匠工芸はさらなる進化ができたと思います。フルオーダーのモノ作り仲間が出来てとても嬉しいです。